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ロシア農奴解放令、その後 [歴史]

 1861年3月の農奴解放令により、約2,250万人の農奴は解放され、「自由な農民」となりました。この解放令では、農民は人格的な解放にとどまり、逆に経済的な支配が強められることになります。土地の所有権は有償で、しかも、農民には資金がなかったので、政府がいわゆる「買い戻し金」を肩がわりして地主に補償金を支払い、農民は政府に対して借金を49年間の年賦で償還するという方法がとられました。政府立て替えの借金の償却までは農民は耕作権をもつだけでした。しかも土地を購入してもそれは個人には属さず、ミール(農村共同体)に帰属し、買い戻し金支払いにもミールが連帯責任を負うことが決められていました。そのため、農民は独立した自営農民にすすむことも、自由な賃金労働者となることも許さない制度でした。
 しかし、皇帝アレクサンドル2世のそのほかの一連の「大改革」、すなわち地方自治機関・ゼムストヴォの設立、裁判制度、軍制改革(兵士の読み書き能力を高める試み)の実施などとあいまって、ロシアでは中間階級が台頭し、医者や弁護士など自由職業が出現し、都市労働者も増大したことから、この解放令はロシア資本主義発達の出発点となったとみなされています。
 地図・図版など詳細は、webページ「みんなの社会」(http://www.net-hub.jp/~hnakayam/)を検索ください。
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